アメリカのトランプ大統領とメラニア夫人が新型コロナウィルスに感染したというニュースが流れたのは10月に入ってすぐのことでした。大統領選真っ最中の感染は大変だろうな、と思いましたがご本人はすぐに回復しその影響はどこ吹く風ですね。
代わりに、周りにいる人々が巻き込まれているな、という印象が強いです。
今回は、トランプ大統領にお見舞いツイートを送ったことで、その英語力が取り沙汰されている菅総理大臣のツイートについて、オンライン英会話Camblyでお世話になっているカナダとアメリカの先生にそれぞれ訊いてみたことについて書いていきます。
英語難しいですよね・・・。
目次
菅総理のツイートの内容とその「英語」
アメリカのトランプ大統領が、ご自分が新型コロナウィルスに感染したとツイッターで発信しました。それに対して、日本の菅総理が反応したお見舞いツイートがこちら。
Dear President Trump,
I was very worried about you when I read your tweet saying that you and Madam First Lady tested positive for COVID-19. I sincerely pray for your early recovery and hope that you and Madam First Lady will return to normal life soon. https://t.co/KcZHxqzhNg— 菅 義偉 (@sugawitter) October 2, 2020
正直・・・、うっかり事故に巻き込まれた総理が気の毒です。
わたしがこのツイートを見たのは、「菅総理の英語がどうこう」という記事が新聞に載ってからでした。I was very worried about・・・の、WASが過去形なので、まるで今はもう心配していないかのように見える、とかなんとかが問題とのことでした。
たしかにWASは過去形だし、過去のことを言っているのだから、今は違うというニュアンスがあるかもしれないけど、後からwhenが続いている文だからこれでいいのでは?と、わたしは思いました。時制の一致もおかしくないし(もしかしてreadを現在形のreadと解釈したか?)別に不自然でも失礼でもありません。
Madamというのはちょっと大げさな言葉に見えるなぁと思いましたが、ファーストレディーのことをこう呼ぶのね!とむしろ勉強になった気持ちでした。
菅総理のツイートは、ネイティブスピーカーが見るとどうなのか?
・・・ってことで、いつもお世話になっているCamblyのカナディアンの先生にまず訊いてみました。
カナディアンの回答:
「別にどこも問題ないでしょ!Madamの代わりに、the でいいかな、とは思うけど」
とのことです。
Madam First LadyよりもThe First Lady のほうがしっくりくるな。もしも直すとしたらそこだけ。英語が母国語じゃない人が書いたんでしょう?意味は伝わるし、丁寧だし十分じゃない、と。
次に、アメリカンの先生に訊いてみました
アメリカンの回答:
「なにも変なところは見つからないけど。ただひとつ、Madamはちょっと大げさかな」
カナディアンとまったく同じ意見でした。
お見舞いの気持ちが感じられるし、尊敬の気持ちもある。何が問題かわからないと。
そして、うちの大統領のツイートのほうが恥ずかしいわ、とも。
くだんのWASについては、その時(感染のツイートを読んだとき)心配した、ということで、さらに I pray forで現在形を使っているから今も心配している気持ちは十分伝わるし・・・。何がいけないの?ただ突っかかりたいだけ??と。
先生方、ありがとう!
英語を学ぶ日本人は、他の人が気になる傾向が強い
今回のこの話が、これに直接つながるかはわからないのですが、わたしが感じるのは「日本人は、ほかの日本人の英語の判定が厳しい」傾向があるな、ということ。
はやくは中学校の英語の授業中。誰かが英語風に正しく発音すると周囲から顰蹙を買います(わたしの時代だけ?)。
それなのに、学生や社会人になって、実際に英語を使って何かしなくてはいけないときにカタカナ発音だとまた周りに何か言われます(めんどくさい・・・)。
英語ができない日本人という国民性?劣等感なのか?なにかにつけて他人の英語に口出ししてきますね。
わたしのカナダ留学時代も、わたしの英語やTOEICの点数にいちいち何か言ってくるのは日本人でした。暇なのか。
そもそも、過去形を使っているからと言って「もう心配していない、心配じゃない」という発想はどこから来たのでしょうか。
自分のお見舞いに来てくれた人に「病気だって聞いて心配しましたよー」と言われて「過去形!何それ?じゃあ今はもう心配してないってこと?」という人がいるのでしょうか。いたとしたら、むしろその発想が心配。
そこには、「病気だって聞いたとき(びっくりして)心配したよ。(大丈夫なの?)」という、大丈夫?今も心配していますよ、という気持ちがあるはずだし、相手にも伝わっているはず。
それが、コミュニケーションだと思うのです。
多くの人が英語を学ぶ目的とモチベーション
そもそも、英語を勉強している人は、なぜ英語を学んでいるのでしょうか。
・海外旅行で困らないように
・映画を字幕なしで観たい
・観光客に道を訊かれても困らないように
・海外の友達が欲しい
・仕事で使うから
・英語が話せたらかっこいい
こんなところでしょうか。
上に挙げたすべて、結局はコミュニケーションなのですよね。そう、英語とはコミュニケーションを取る手段なのです。試験で満点取るより、稚拙でも相手に自分の英語が通じたときの喜びのほうが大きいはず。
「コミュニケーションは二の次。自分は英語を完璧にしたい。文法も発音も完全に正しい英語を手に入れたい」という人なら、英語学者になって、好きなだけ他人の英語にケチをつけたらいいと思いますが、友達は減りますね。それに、完璧になったとしても、その人も必ず間違った英語を使います。
だって、日本語ネイティブの日本人だって日本語間違いだらけじゃないですか。
とっても大好き・・・大好きはとっても好きのことだから重ねてとってもと言わなくていい
すごい美味しい・・・美味しいは形容詞だから、すごいは副詞のすごく、が正しい
とんでもございません・・・とんでもないことでございます、でしょ
なるほどですね・・・なんだそのヘンテコな日本語は
言葉はコミュニケーション手段の一つです。なんだかんだ言いたくなる気持ちもわかるけど、相手に伝わればそれで十分です。文法が間違っていても伝わればOKだし、文法が最低限間違ってなければ尚よし、なのです。
試験では厳しいかもしれませんが・・・
今回は、ちょっと話題になった菅総理の英語ツイートについて書いてみました。
15年前にカナダに留学したとき、初日のオリエンテーションで言われて印象に残っている言葉があります。それは、
「世の中には完璧な英語は存在しない」
ということ。
英語を勉強中のみなさん。ひとのことより自分のこと、がんばりましょ!
Camblyについてはこちら。今の旬な話題についても英語で話せるので、楽しいですよ!