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書籍「誰がアパレルを殺すのか」

ちょっとギョッとするタイトルですが、気になったので手に取りました。あちこちでデパートが閉店となり、服が売れないという話は聞いていましたが(デパートは服を買いに行くところという認識です)、単なる不景気なのか、アパレルに何か起こっているのか。

誰がアパレルを殺すのか」 日経BP社 、杉原 淳一氏 、 染原 睦美氏 (著)

不振にあえぐアパレル業界のからくりを書いた本です。店舗の閉鎖、撤退するブランド(オールドネイビー、なくなっちゃいましたね)、なぜ服は売れなくなってしまったのか?

それは、作れば売れる、というアパレルの黄金時代に、業界全体が手を抜いていたから。高度経済成長に続くCDブランド全盛期、バブル経済期に、消費者が何を求めているのか、何が求められているのかを真剣に考えず、人材もブランドも本当の意味で育ててこなかったつけが、デフレ時代の今回ってきた、ということらしいです。景気がいい頃はそんなこと考えなくても売れてましたからね。

少しでも利益を出すために、大量生産をくり返し、一点の仕入れ値を下げる。値段を下げながら、セールやアウトレットで売り続け、売れ残った服はそれ専用の業者が買い取る。そうすれば当面の売り上げは確保できていたから、「どんな商品が売れるのか(こんな商品を作ってほしい)」より「何でもいいから売れ筋の商品を持ってきてほしい」になり、それを続けるうちに、売れ筋の商品を自ら生み出す力を失った・・・。

そんなことが書いてあります。

 

わたしは単なる一消費者なので、業界の詳しいことはわかりませんが、確かに欲しい服が売ってないなぁとは感じています。流行も多少あるとは思いますが。骨格ストレートには受難の時代ですし。ただ、どこのお店にも似たような服が並んでいる印象です。

そんな風潮を疑問視し、独自のやり方で好調なブランド、メーカーもあり、本の中で紹介されています。たとえば、桃太郎ジーンズさんや、ミナペルホネンさん。各ブランドが独自の美学をもって、魅力的な服を作っていけば、固定のファンができ、服も売れていくのかななんて思いました。

 

おもしろかったのは、「セールで売るということは、もともと値段設定が間違っている」というところ。確かに、セールやアウトレットで安売りの服を買うとき、こんなに安くても利益が出るって、いったいどういうことだろう?モノの値段って・・・(^_^;)、と思うこと、何度もあります。

でも、安いから売れるというわけでもないのですよね。時代とともに、服に対する関わり方が変わってきているように思います。レンタルサービスや古着が好調というのも、1970年生まれのわたしには新鮮に思えます。デフレ時代には、そこまで服にお金をかけられないですしね。

 

いい服だから売れるのか、売れる服がいい服なのか。

「いいものを作れ」ではなく「売れるものを作れ」と言われ続けてちょっと疲れてしまった人にもおすすめです。

 

 

 

 

 

 

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marigold

1970年東京生まれ/都内で夫とネコ2匹と暮らす派遣社員/30歳でひとり暮らしを始めるまで、実家でひたすら「自分博物館」を作り上げ、その後大規模の片づけをくり返すうち自分なりの片づけの哲学にたどり着きシンプルライフに移行/ミニマリストを目指して暮らしを整え中/「したいことだけする、したくないことはしない」の意味が最近わかり始めたところ/

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